「知らない作家なので、これは買うことにした。」という件がいかにも新しもの好きらしいな

二か月以上前の話になります。新宿のツタヤへDVDを借りに行きました。


映画「倫敦(ロンドン)から来た男」を探しに行ったのですが、そこで映画「雨の午後の降霊祭」を偶然見つけたのでした。

陳列棚の一番上で、やっと手が届くかなってところで「雨の午後の降霊祭」のタイトルを見つけたとき、脳の奥で四十二年前の回路が発火したのでした。

つまり、これは書籍「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」で植草甚一が紹介していたミステリー小説を原作とした映画だと直感的に理解できました。

この発見は「棚からぼた餅」ですね。その時、きっと口は半開きだったに違いない。

「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」(植草甚一 著、晶文社 刊)より引用
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 二冊目はイギリスの作家マーク・マクシェーンの「雨が降る午後の交霊術会」Mark McShane; Seane on an Wet Afternoonで「霧のカーテン」Le Ridean de brumeと改題してある。知らない作家なので、これは買うことにした。
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二本ともレンタルしたのは言うまでもない。新宿ツタヤはマニアックな品揃えがお気に入りです。しかし、これらの映画の話はまた後日にしましょう。

きょうは、手元になくてなおかつ近所に流通していない古い本などは、やはり「図書館が頼りですね」という話です。

その昔、書籍「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」を発行年に購入して一年ほどで紛失してしまったのでした。映画「雨の午後の降霊祭」を観たあとで、植草さんは「どんなことを話してたっけ?」と思って、いそいそと図書館へ出掛けたのでした。


東京では桜の開花宣言がされた週末でした。この図書館になければあきらめようかなってところです。

端末画面に「うえくさじんいち」と入力して検索します。けっこうな数の蔵書リストが表示されますね。あえて目的の書籍名では検索しないのでした。いろいろと見てみたいからですよ(あ~、こんな本もあったね…とか)。

当時は、植草さんの新刊はチェックしていたはずなので、この本はそのときの興味の対象ではなかったのでしょう。この本もおもしろそうなので一緒に貸出登録をします。

鬼平対甚一 」
単行本: 170ページ
出版社: 晶文社
発売日: 1983/08

植草さんが書いた「鬼平犯科帳」の書評? をまとめた本です。表紙に「跋・池波正太郎」と読めます。「跋」って「あとがき」とか「奥書」ってことなんですね。池波さんが短文を載せています。池波さんと植草さんを引き合せた共通の友人が淀川長治である。とか、淀川さんが「甚ちゃん、ニューヨークにハマってあぶない」みたいな話をしていたことなど紹介されております。

内容は、あいかわらずの植草節です…相手が鬼平でもミンガスでも変わらないですね。

そうそう、肝心の書籍「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」から先ほど引用したなかで「...知らない作家なので、これは買うことにした。...」という件がいかにも新しもの好きらしいな、と。
(それにしても、この本の活字は小さい! こんなの読んでたのか…)

というわけで、「図書館ありがとう」な一日でしたとさ。